超音波骨折治療研究会

第22回

開催概要

会期:2019年1月19日(土) 13:00~17:30(予定)

会長:渡部 欣忍(帝京大学医学部整形外科学講座)

会場:品川インターシティホール

会長あいさつ

第22回超音波骨折治療研究会

会長

渡部 欣忍

今回の研究会のメインテーマを「コンプライアンスと治療効果」にしました。

1983年にXavierとDurarteは、低出力超音波パルス(Low intensive pulsed ultrasound, LIPUS)には、ヒトの骨折治癒を促進する効果があることを、世界で初めて報告しました。その後、Heckmanが脛骨骨折、Kristiansenが橈骨遠位端骨折に対するランダム化比較臨床試験(RCT)でLIPUSに骨癒合促進効果があることをより科学的に証明しました。これらの結果を受けて、 LIPUSは骨折治療器として米国のFDAで認可を受け、その後、日本へも導入されました。現在まで、難治骨折、新鮮骨折、骨切り術へと適応が徐々に拡大されてきました。

最近になり、LIPUSには臨床的な骨癒合促進効果がないとする臨床研究の結果も報告されています。しかし、LIPUSの骨癒合促進効果を否定している論文では、この治療器の使用頻度がそもそも低かったことも明らかになっています。本研究会でも、 LIPUSの治療効果とコンプライアンスの関係については、時々話題にあがっていました。どんなに良い薬でも飲まなければ効果がないのか、効果のない薬はどんなにたくさん服用しても効かないのかをハッキリさせることが必要です。今回のメインテーマを「コンプライアンスと治療効果」とした理由はそのためです。

また、新しい試みとして、今回2つの教育研修講演をお願いしました。

1つは、東京大学医療安全対策センター准教授の中島勧先生に、「整形外科外傷診療における医療安全管理」についてお話していだきます。

整形外科領域に限らず、医療安全管理の問題は私たち医療従事者が避けて通れない身近な問題です。人工関節手術や脊椎手術などの待機手術とは異なり、整形外傷治療では hot surgery になることも多く、また、予期しない医療上の問題を生じることがしばしばあります。整形外傷治療は、医療の中でも最も危険な領域の1つと言えるかも知れません。それらのことを含めて、医療安全管理上の課題を克服していくことは喫緊の課題となります。医療安全のプロである中島先生から大切なお話が聞けると思います。

もう一つは、名古屋市立東部医療センター整形外科副部長の福田誠先生に、「よくわかる骨と骨折の生物学:骨芽細胞からiPS細胞まで」という演題でお話しいただきます。

本研究会では、LIPUSに関する臨床研究だけでなく、基礎研究の結果も報告され、LIPUSがなぜ効くのか、いつ効くのか、どうすれば効くのか等の科学的根拠を提供してきました。本会に参加される多くの方は臨床医ですが、細胞やサイトカインなどに関する話題には興味はあるけれど、どうも難しくて苦手だという声をよく聞いていました。そこで、この分野に造詣が深い福田誠先生にお願いして、医学生でもわかる程度にかみ砕いて「骨と骨折に関する生物学」について講演せよと指令を出したところ二つ返事で快諾してくれました。皆さまの苦手意識が一掃されることうけあいです。

LIPUSの骨癒合促進効果が知られてから35年。今年も、東京・品川で皆さまをお待ちしております。奮ってご参加ください。